RnineTにちょびっと乗ってみた

BMWのRnineTというバイクをご存知でしょうか?
BMWモトラッド(ドイツ語で「バイク」)の90周年を記念して作られた、ボクサーエンジンを積んだネイキッドバイクです。

BMWのバイクは「触るな危険!ノーマルで乗れ!」と言わんばかりの構成のバイクです。実際、バッテリーのコードを外しただけで「service」表示がメーターディスプレイに表示されてしまいますので、そうなったら最後(?)、ディーラーに行って、専用コンピュータで消してもらうしかありません。

まぁ外車にありがちな話なんですけどね。

で、そんなBMWのバイクなんですが、このところの欧州でのカフェレーサーを筆頭とするバイクカスタムブームを見たBMWモトラッドの開発者が、BMWでもカスタムをガンガンできるバイクが欲しい!と思い、カスタム前提のバイクとして開発したのが、RnineTです。

RnineTという名前はもちろん名車「R90」や「90周年」をもじったものです。

1200ccのボクサーエンジンを積んだネイキッドといえば、すでにR1200Rがありますので、まぁR1200Rの特殊バージョンかな、くらいの認識だったのですが、今回、試乗の機会を経て、実はR1200Rとは全く異なるジャンルのバイクであることが判明してしまいました。

外観的には、R1200Rと比べて、タンクのスリムさが目立ち、また、フロントフォークは一般的なテレスコピックフォークです。後席は小さく、基本的に一人乗りのバイクであることがわかります。ツーリング性能が売りであるBMWのバイクの中ではちょっと特別な位置づけですね。

このバイク、またがってバイクを起こした瞬間から、非常に軽いな、と思わせられますが、走り出すと、その軽快さが際立ち、大げさではなく、ミドルサイズのバイクのごとく、ヒラヒラと走ります。1200ccでこのヒラヒラ感は、ちょっと驚きです。

R1200Rでも、ステップに荷重をかけて「ウリャッ」とやると、いつものどっしり安定感のある走りからは想像できないような俊敏な動きをしたりしますが、あくまでも「意識して操ればヒラヒラ走る」という類のもの。

RnineTは特に意識しなくても常にヒラヒラと動き、低重心のボクサーエンジンの特徴を前面に出した設計であることがわかります。

そしてエンジンの鼓動も大きめで、アクラポビッチのマフラーが標準装備となっている日本仕様では音も重低音が聞いていて迫力があります。

なんだか、いい意味で、古き良き時代の、昔のバイクのようです。

このバイクに乗って最初に思い浮かんだのは、「あぁこれはSRX(ヤマハの過去の車種です)だな」ということです。

「SR」と言ってもいいのですが、スポーティで軽快なので、やはり「SRX」です。

そのサウンド、振動、動き、すべてが計算された演出のようで、なおかつ乗ると、実際楽しい。

そのスポーティさにワクワクさせられながらも、なんとなく古き良きバイクに乗っているようなノスタルジックな感じにも浸ってしまう二面性を持つバイク。そんなバイクだと思いました。