そろそろ日本のバイクを見直そう(1)

先日、とある用事でバイク屋さんに行ったのですが、MT-09を半日貸していただく機会に恵まれました。

まぁいわゆる試乗ってやつなんですが、しかしそこは自由の利かないパパの身分。とりあえず自宅に乗って帰り、すぐに掃除等の家事をこなし、そしてまたバイク屋に戻るだけという、ある意味もったいないことになってしまいました。

しかし、限られた時間ながら、とてもいい機会になったのは間違いありません。往路は一般道での通常走行、しかもちょっとした渋滞や低速走行のテスト(もちろんたまには気持ちのいい加速)。復路では高速道路の走行。

当初は「よ〜し、峠を楽しむぞ!」と意気込んで近所のちょっとしたミニ峠もコースの一部に入れたものの、ものの見事にノロノロ運転のバスと渋滞につかまり、ちょっとがっかりな部分もありました。こういった場合、せっかくの試乗なのに一番いいところを味わえないなんて、、、と考えがちですが、そうとも言い切れない部分もあります。
というのも、実際所有した場合、そのバイクの一番おいしいところを味わう機会がたくさんあるかというと、そうでもないからです。もちろん、一番いいところを体験してその価値を理解することは重要ですが、現実はたいがいつまらない走行を延々と繰り返すことになるからです。ですから、渋滞走行を繰り返すことにも意味はあります。

と前置きはともかく、今回のちょっと長い試乗で感じたことを書いてみます。

まず加速がすごいのはわかりきっていることなので置いておきます。あえて言及するとすれば、免許を失いたくない人は、本当にしょっちゅうスピードメータをチェックする必要に迫られるため、安心してアクセルを回せない、ということです。ある意味ストレス?

次にちょっと感銘を受けたのは、極低速時のバランスがとてつもなくよかったということです。極低速というのは歩く速度くらいのことを言っているのですが、車体がピタっと安定してぶれないのです。そしてもっと言えば、オフ車のようにスタンディング的なことをやってみたくなる。これはオフ車のようなライディングポジションのおかげかもしれません。車体も軽いですし、上手な人なら本当に手足のように操れるかも。加速&スピードだけのバイクじゃないというのが発見。

渋滞になるとすぐ湯温が100℃を超えてファンが回りだしますが、まぁ標準的な水冷車レベルの熱風であるので、気にする必要はないと思います。

次に高速祖道路での走行ですが、後付のスクリーンが付いていれば、驚くほど快適です。試乗車にはMRAのスクリーンが付いていました。現在私が所有している1200ccのネイキッドにもスクリーンは付いていますが、ぬふわKm/hを超えると、風圧でヘルメットが左右にぶれまくって気持ちが挫けてしまうので、1200ccもあるのにあまりスピードを出す気になりません。

しかしそれなりのスクリーンの付いた(ただし純正のおまけみたいなスクリーンはだめかも)MT-09であれば、ぬうわKm/h、あるいは、ぬえわKm/hくらいだしてもまったくヘルメットがぶれることがありません。これは正直驚きでした。もう、ネイキッドでいいじゃん。。。

そして最後にコーナリング。やはり車体が軽いせいか、重量車のように「このタイヤほんとに支えてくれるのかな?」という疑念とはまったく無縁で、バンクさせてリアサスに荷重をかけていくことへの不安感がありません。そして多少路面が荒れていても車体がピタッと安定して路面に吸い付いているように感じました。気持ちいいとしかいいようがない。

ちなみに、最新SSみたいな前輪荷重系ではなく、リアでコーナリングするバイクのように感じました。やっぱりオフ系というかモタード系なんでしょうね。

で、まとめますと、MT-09は、低速から高速まで、安心してコントローラブルな走りを楽しめる、駆け抜ける喜び、を具現化したようなバイクだと思いました。

えっ、どこかで聞いたようなフレーズだって?

ハイ。

MT-07もそうでしたが、この値段でここまで洗練されたバイクが日本メーカから出てくると、やたらランニングコストの高い外車がかすんできますよ、実際。
外車は高い部品が使ってあったりして仕上げもよいものも多いですが、MTシリーズの場合はカスタムパーツがどんどん出てきていますから、車体を安く買って、好きなカスタムパーツで自分好みに仕上げることもできます。変な言い方ですが、「高そう」なバイクに仕上げることだってできます。

また、なんだかんだ言って、外車にはステイタス性みたいなものも現実にあったりしますが、ここまで優秀な日本車が出てくると、本当に外車に高いコストを支払う価値があるのか?と真剣に再検討せざるを得なくなります。こういう素晴らしバイクを作ってくれたメーカにお礼の意味を込めて購入してあげたい、というか。

(ちなみに、外車のコストも日本車と変わらない、とおっしゃる方がいるのはよく存じておりますが、正規ディーラに整備を丸投げする標準的なユーザの方が大半だと思っていますので、工夫で安く済ます話は、ちょっと。。。あと重要部品が故障した場合はやっぱり外車はすごいことになりますからね。)

もうすぐカワサキからH2、H2Rという、ものすごいマシン(高そう・・・)も出てきますが、そろそろ日本車の歴史的大反転攻勢が始まるのかもしれませんよ?